ミッドエンジンであるがため、至る所で限界がピーキーと言われているが、タイヤの接地感がなくなってからリアがブレイクするまではけっこう余裕があるように思う。しかし一度ブレイクしてしまうと、タコ踊りかスピンの二択である。よっぽど急なハンドル操作でもしない限り、いきなりブレイクってことはないと思う。滑らかな動作を心掛ければ、運転はめちゃくちゃ楽しい。
燃料タンクがセンタートンネルの下、つまりシフトレバーの下にある。開発当時、その燃料タンクの容量確保に苦労したらしく、かなりセンタートンネルが出っ張っている。その所為で、純正シートは左右非対称とせざるを得なかったようだ。よって、社外品のシートを付けるとかなりの確率で右に寄る。限定モデルに純正で付いていたレカロでも右に寄っているらしい。これはどーすることもできない。
前後比は発売当初は45:55ぐらいであったが、S/Cを積んで後ろが重くなったので、私のはもっと後ろよりである。車検証によれば、前後の軸重は前が450kg、後ろが650kgらしい。ということは前後比は40.5:59.5……。レガシィB4は確か6:4だったから、そいつの後ろ向きといい勝負なわけだ。やっぱりRRに近いのね。それでもSWよりはマシだろう。確か43:57だったし、それはおそらくNAの前後比だから、ターボの方はどうなることやら……。ちなみにMR-Sは42:58だそうだ。重量配分よりもロングホイルベースを重要視したためだと思われる。
ドライブトレーンはAE82カローラFX-GTのものを流用しているが、AW11がデビューした時点でまだデビューしておらず、4A-GEを横置き搭載した最初の車になっている。AE82が後ろを向いて走っているようなものだ、という表現をよく見かけるが、本当にそうしたらRRじゃねーかと常々思っている。本当はFFのドライブトレーンをそのまま後ろまで持ってきた、が正しい。
ハイマウントストップランプはリアスポ埋め込みなので、リアスポを外すとハイマウントはなくなってしまうわけだが、輸出仕様では室内に付けるハイマウントストップランプがあるので、それをつければリアスポ外したいけどハイマウントがなくなっちゃうしな〜という悩みもばっちりである。社外品で汎用のそれも存在する。それに、自作をするにしても簡単な電気工作でできるだろうから、手間さえかければそれなりのものができあがるだろう。明るさをどのぐらいにすれば妥当なのかがわからなそうだが。
S/Cの設定は昭和61年のマイナーチェンジで追加。エンジンからベルトでコンプレッサーを回すスーパーチャージャーが付いている。過給器特有のバカ太いトルクをスロットルを開けてすぐに得られるのが特徴。ターボ特有の、スロットルを開けてから過給が立ち上がるまでの間、いわゆるターボラグはない。しかし、高回転では逆に機械的ロスになるので、おいしいのはいいとこ5000rpmまで。下も3000rpmからじゃないと踏めば前に出るというおいしさはないが、4000rpm辺りは殺人的な加速を味わえる。よって、案外おいしいところが狭く、大排気量車のようにどんな回転数からでもスロットルを開ければ加速できる、って訳ではないので逆にそれが楽しい。自分で操っている気分になれる。
トップエンドまで一気に回らないのは気持ち良くないという人も多いが、私は高回転型の自然吸気エンジンにはない中回転までのトルクのバカ太さが大好きである。ショートストロークのフケの良さを持ちながら、ロングストロークのような低回転トルク&高回転の伸びのなさは、S/Cならではの特性であろう。頑張って高回転を維持しなくてもどんどん前に出る楽しさが味わえ、それなのに次々とシフトアップしていく楽しさも味わえる、という後輪駆動車はこいつだけじゃないかと思う。
ちなみにS/Cはルーツ式といわれる、二つの繭が回転しているタイプのものである。三枚葉のリショルム式というのもあり、こっちは高回転でもあまり抵抗にならないらしいが、作るときの精度がかなり厳しいらしく、コストが高くなってしまうために採用されなかったようだ。マツダの高級車やカメラードが出している後付けS/Cキットにはこっちが採用されていた。外車はたぶんリショルム式だろう。高いし。
S/Cはコンプレッサーが回った分だけ過給されるわけだから、エンジンの回転に対してよりたくさんS/Cが回ってあげれば過給圧は上がるということになる。ということで、エンジンのクランクプーリーを大きくする(and/or)S/Cのプーリーを小さくすることで、簡単に過給圧を上げることができる。その代わり、プーリーが大きくなるとプーリーの重量が重くなり、過給の立ち上がりが悪くなる欠点がある。要はプーリーが重くならなきゃいいわけで、アルミを使ったプーリーなんかも出てる。あまりプーリーが大きくなると、今度はアイドラーベアリングと干渉し、こっちも交換せねばならなくなってしまう。ところがそのベアリングが強度的に問題があるらしく、結構すぐに壊れてしまうらしい。ブーストアップするとやっぱりエンジンにも厳しいわけで、丈夫で有名な4A-GZであるが、1.3kg/cm^2ぐらいかかるとさすがにブローするらしい。私的に過給圧が上がるとハイオクを突っ込まなきゃいけなくなるので、純正のレギュラー仕様もそれはそれでよいかなと思う。据膳があればわからないけど。
他の方式としては、完全にスロットルポジションセンサーだけで制御するスロポジ式、熱せられたワイヤーを当てて温度変化で流入量を計るホットワイヤー式、空気に超音波を当ててカルマン渦の数で流入量を計るカルマン式、詳しい方式は忘れたが、吸気温とかから空気の量を予測する方式などがある。スロポジはレスポンスは良いが、スロットルポジションセンサーが狂うとそれだけでヤバいことになる可能性が高いし、スロットルの開度が空気の量に完全に直結するわけではない。最後の方式はレスポンスは良いが空気の量をそれほど正確には計れないらしい。ホットワイヤー式やカルマン式は特に弱点になるような物はないように思える。
ミッションオイルの容量もめちゃくちゃでかい。4.2リットルも入る。オイルポンプが一緒に入っているかららしいが、オイルを換えるのにかかる金がバカにならないのは勘弁してほしい。ちなみに、ミッションオイルはインタークーラーを外してエア抜き用の穴(30mm)からオイルを流し込むと楽チンである。ちなみにこのミッションは2速&3速のシンクロがすぐ死ぬ。ご多分に漏れず私のも2速のシンクロが死んでいるが、OHする金もないのでダブルクラッチで回転数を合わせる練習だと思って放置してある。
3S-GTEの車とミッションの系統が同じということは、その辺のギヤを流用できるということであろう。セリカのGT-FOURやらSWのターボやらと92&101のGT-Zもある。狙い目はST18#セリカのGT-FOUR Rallyだろう。競技ベース車なので、純正でAW11の3速のギヤ比がまんま4速という感じのクロスミッションになっている(ファイナルは違うけど)。なので、その辺を流用できるとかなりおいしいと思う。SWではこれを流用して〜ってショップが結構あるようだ。でもどうやらポン付けなんてのは甘い考えらしい。
E系ミッションを採用していると思われる車のギヤ比を下に記す。これらはWebを探しまくって見つけたもので、実際にカタログ等で確認できたのは一部しかない。また、ミッションの型式に関する資料はほとんど見つからず、ST165がE50でE58とかE52が存在するということぐらいしかわからなかった。その他、E系でも、E##系とE1##系が存在するらしく、それらの間で互換性が存在するかは定かではない。カルディナGTも3S-GTEを積んでいるためE系ミッションだろうが、現行のST215以外は資料が見つからなかった。なお、ST185HのGT-FOUR RCは他のST185とは1速と2速のギヤ比が違うことが売り文句だったにも関わらず、シンクロなどは改良されているだろうが、まんまST165の流用だったことを記しておく(爆)。ファイナルはさすがに専用だったようだが。
車種 | MT型式 | 第1速 | 第2速 | 第3速 | 第4速 | 第5速 | 減速比 | 後退比 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AW11 S/C | E51 | 3.230 | 1.913 | 1.258 | 0.918 | 0.731 | 4.285 | 3.583 |
SW20 GT | E5# | 3.230 | 1.913 | 1.258 | 0.918 | 0.731 | 4.285 | 3.545 |
AE92 GT-Z | E52 | 3.214 | 2.045 | 1.333 | 0.972 | 0.821 | 3.944 | 3.583 |
AE101 GT-Z | E58 | |||||||
ST165 GT-FOUR | E50F2 | 3.583 | 2.045 | 1.333 | 0.972 | 0.731 | 4.285 | 3.583 |
ST215 GT-T | E15# | 3.384 | 1.913 | 1.333 | 0.972 | 0.731 | 4.285 | 3.545 |
ST185 GT-FOUR | E150F | |||||||
ST185 GT-FOUR Rally | E152F | 3.230 | 2.142 | 1.518 | 1.258 | 0.731 | 4.285 | 3.545 |
ST185H GT-FOUR RC | E151F | 3.583 | 2.045 | 1.333 | 0.972 | 0.731 | 3.933 | 3.545 |
ST205 GT-FOUR | E15# | 3.384 | 1.913 | 1.333 | 0.918 | 0.731 | 4.285 | 3.545 |
VZV20,30 | E53 | 3.583 | 2.045 | 1.333 | 1.028 | 0.820 | 4.285 | 3.583 |
SV30 | E56F2 | 3.538 | 2.045 | 1.333 | 1.028 | 0.820 | 4.235 | 3.583 |
CT215 | E57F | 3.833 | 2.045 | 1.333 | 0.918 | 0.775 | 3.944 | 3.583 |
他には、リアのアラインメントをすべて調整することができたりする。普通リアのキャンバーは調整できないらしいが、AWはその辺が全部いじれ、アラインメントでいろいろと遊べるらしい。純正でキャンバーがマイナス方向についていたりもする。しかし、その自由度がアラインメントが狂いやすいという弱点にもなっている。
ホイールのオフセットは純正で+39であるが、前は+32後ろは+27ぐらいまで入るらしい。前は現に+32でギリギリ収まっているが、ステアを左に半分以上切った状態で、下り坂等の右のタイヤに荷重がかかる状態でブレーキを踏むと、バネとホイールが干渉するらしくヒィィィと鳴く。このような話は聞いたり聞かなかったりなので、タイヤがボディと干渉するかどうかはアラインメントと運(爆)によるだろう。私のは純正ホイール+純正タイヤサイズでもアンダーカバーと干渉してたし。
このTバー、一番の問題は雨漏りだろう。マジでシャレにならない。今はまだ治せば治るから良いものの、治らなくなったらTバーは開かなくしてしまうと思う。雨漏りの一番の原因はウエザストリップの水路詰まりだろう。他にもピラーを伝って車内に入ったり、ボディが歪んでウエザストリップを取り替えても雨漏りが治らない、という例もある。他にもノーマルルーフに比べ30kgの重量増やボディ剛性の問題などマイナス要素がいろいろあるが、ガラスを外さなくても天井から空が見えたり明かりが入ったりするだけで、解放感はサンルーフなしとは段違いなので、私はけっこう好きだったりする。しかし返す返すも30kgは痛すぎる。